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5/23(金)~「人生まだ終われない」男同士の熱い友情が描かれる主演・加藤雅也の映画「KYロック!」の前田多美監督に制作秘話を独占インタビュー@長野県長野市

公開日:2025/05/14

2025年5月23日(金)から5月29日(木)まで長野県長野市の権堂商店街にある「長野相生座・ロキシー」で、前田多美監督の最新作「KYロック!」が公開。

同作は、広島県が舞台。還暦を迎える男たちの友情と音楽を軸に、世代を問わず“青春”の衝動を感じられるバディものです。主演は、フジテレビ系のドラマ「アンフェア」やNHKの連続テレビ小説シリーズや大河ドラマシリーズなど、数々の名作に出演してきた俳優・加藤雅也さん。相棒役には、広島県を拠点に活動するミュージシャン・ミカカさんが出演します。

前田監督の作品は長野県内では初上映。また、「長野松竹相生座・ロキシー」で舞台挨拶も予定されているということで、Web Komachiが独占インタビュー!「KYロック!」製作の裏側や思いを伺いました。

KYロックのあらすじ
「人生はまだ終われない」60歳を迎えようという孝祐(こうすけ)の胸中は密かに燃えていた。
唯一無二の友、豊(ゆたか)や仲間たちとのロックバンド「KY ブラザーズ」の活動に本腰を入れるために、長年勤めていた会社を早期退職。第二の人生を切り開いていくはずだった。そんなある日、還暦ライブを目前に豊が突然孝祐を拒絶し、バンド脱退を宣言する。人生の門出に立つ孝祐にふりかかる友情の危機。立ちはだかる長年のコンプレックスという壁。
50代終盤になって迷い込んだ、まるで青春時代のような葛藤の中で、孝祐は新しい一歩を踏み出せるのか。
「KYロック!」公式サイトより引用)

長野県初公開!映画「KYロック!」の舞台挨拶が相生座・ロキシーで開催。前田多美監督に独占インタビュー!

「KYロック!」が公開されるのは、長野市の権堂商店街にある「長野相生座・ロキシー1・2」。上映のきっかけをフロアマネージャーの高橋さんに伺ったところ、「さまざまな経緯がありますが、一番は監督の熱意です!」とのこと。5/24(土)と5/25(日)には、前田監督が登壇する舞台挨拶も開催されます!

「これまで上映してきた地域では、「背中を押された」とか「元気が出た」といった感想を本当にたくさんいただいていて。だから、まずは気軽な気持ちで観に来てもらえたらと思います。重たいテーマではないし、誰かが亡くなったりするような悲しい物語でもないので、気負わず観ていただきたいですね。」

▶▶舞台挨拶の詳細

前田多美
東京都港区出身、大阪府育ち。俳優、映画監督、脚本家として活動。制作から配給までを一貫して行う自主映画製作者として知られる。2015年頃に広島に移住し、企業プロモーションの映像制作を開始。2020年には、短編映画「光を止める。」を公開し、映画監督としてデビュー。2021年には初の長編映画「犬ころたちの唄」を公開。

男同士の友情!青春時代の衝動を感じる「KYロック!」

――この映画の魅力を教えて下さい。

前田監督:
この作品は、孝祐と豊という還暦を迎える2人の男たちの「男同士の友情・バディ感」が魅力だと思います。すごく仲が良くて、親友同士なんだけど、ライバルみたいな関係性。これって男性特有じゃないかなと思います。女性である私から見ると、不思議だし、すごく興味深くて。

劇中では、そんな二人がバンドを組んでいるのですが、ある出来事をきっかけに解散してしまいます。ロックを軸に、衝動や葛藤に悩みつつも、主人公・孝祐が新しい一歩を踏み出せるのか、というのもこの作品の魅力だと思います。

――熱いバディものなんですね。脚本ではどのように表現されたのでしょうか?

前田監督
特に会話のシーンはこだわりました。仲の良い男性同士って、一から十まで全部言わないんですよね。おしゃべりしているようで、核心については言わないのに、通じ合っているみたいな。

例えば、喧嘩後にあんまんを食べるシーンがあるんですが、特に何も会話はないんだけれども、わだかまりが徐々にほどけていく。そういったコミュニケーションが本作の魅力でもあると思います。ほかにも、ビートルズのジョンとポールの有名なエピソードを参考にしたシーンもあったりするので、ぜひ劇中で探してみてください。

――ストーリーには“音楽”が深く関わっているように感じました。ロックという要素は、どのように物語に組み込んだのでしょうか?

前田監督
脚本を書くにあたって、孝祐と豊を「自分の歌しか歌えない人」と「人の歌しか歌えない人」という対照的なキャラクターとして描き始めました。

「自分の歌しか歌えない人」はミカカさんにお願いしました。彼は実際に音楽活動をしているミュージシャンなので、彼の持ち歌がそのまま心情を表す楽曲として作品に登場しています。

一方で「人の歌しか歌えない男」である加藤正也さん演じる孝祐の方は、彼の内面に鳴り響いている“誰かの歌”を通して表現していこうと考えました。


70年代ロックに宿る”青春の記憶

――劇中歌はどのように選んだのですか?

前田監督
ライブシーンで使用したのは、チューリップのデビュー曲『私の小さな人生』。これは1970年代の楽曲なんですが、孝祐が還暦を迎えるのが2023年という設定で考えると、彼の“熱かった時代”はまさに70年代なんじゃないかと。

その時代にヒットした曲をいくつも聴き比べた中で、この曲が物語に一番フィットすると感じました。作品をつくるうえで、先人たちの創作物に影響を受けながら自分たちの作品を紡いでいく——そんな“創造の継承”みたいなものも、作品のサブテーマとして込めています。


制作のきっかけとキャスティング

――「KYロック!」が製作されたきっかけを教えていただけますか?

前田監督
「KYロック!」を制作するきっかけは、映画で主演を演じてくださっている雅也さんです。私自身もともと、「男同士の友情」や「バディもの」を作りたいと考えていましたが、そのときに、前回制作した「犬ころたちの唄」という作品を見た雅也さんから直々に電話がかかってきて(笑)
「同作に出演しているミカカさんのお芝居がすごい面白かったので、共演してみたいです!」という話になり、このような形で実現しました。

――加藤雅也さんの還暦記念作品というのも印象的です。

前田監督
ちょうど雅也さんが60歳を迎える年に撮影できそうだから、”還暦記念作品”として企画するアイデアが出て。私からも、「還暦という節目に、芸歴初のチャレンジをしてみませんか?」とお願いしたんです。というのも、雅也さんは私よりちょうど20歳年上で、“大人のかっこいい先輩の背中”を見たいという思いがあったので。

――どんなチャレンジをお願いされたんですか?

前田監督
相棒役が広島のミュージシャン・ミカカさんだったこともあり、「ミュージシャンの映画にしたい」と思って、“ライブシーンへの挑戦”をお願いしました。でも、雅也さんは歌うことにコンプレックスがあるらしく、最初はすごく渋っていました。

ただ、雅也さん自身、これまで“苦手なことにあえて挑戦する”という生き方をされてきた方でもあるんです。遊びで、こっそり弾き語りの場に飛び込んだこともあるらしいですよ。

――ほかにも、豪華なキャストが出演されていますよね。大塚寧々さんの出演も話題になりそうです。

前田監督
そうなんです。雅也さんとミカカさんが演じる役の“青春時代に取り合ったマドンナ”という存在を、誰が演じたら説得力があるのか、本当に悩んでいたんです。

すると、ある日雅也さんから突然電話が来て、「寧々ちゃんやで」って(笑)。私も直感で、大塚寧々さんがいい、って思いました。でも、「いやいや、出てもらえるわけないでしょ」って内心思いながらも、脚本をお送りしてみたら……なんとすぐに「やります、やりたいです」とお返事をいただけて!夢のような展開でした。


ロケ地として広島を選んだ理由

――全編広島で撮影されたとのことですが、その理由はなんでしょうか?

前田監督
2つ理由があります。一つは私が広島に住んでいるからです。映画って、視覚と聴覚のメディアなんです。だからこそ、カメラワークや音楽を使って他の感覚を表現することは難しい。でも、実際に住んでいると、映画では表現できない、その場所の匂いや温度感を表現することができると思って。自分がよく知っている土地で撮影するのが、一番伝わると思いました。

――映画監督ならではの視点ですね。

前田監督
もう一つの理由が、雅也さんの考え方にすごく影響を受けたからなんですよね。

東日本大震災(3.11)のとき、雅也さんは「映画制作の拠点が東京に集中しすぎている」と強く感じたそうなんです。もし東京で何か大きな災害が起きたら、その時点で日本の映画文化が止まってしまうかもしれない。それがすごく怖かった、と。そこから“地方でもちゃんと映画を作れる体制”が必要だと感じるようになったそうです。その考えに共感し、広島での撮影を選びました。


映像表現へのこだわり「あえて見せない」広島の名所

――映像表現についてお伺いします。今回、カメラワークやロケ地の見せ方に何か意識されたことはありますか?

前田監督
カメラマンとは、あまり「広島、広島」と強調しすぎる画にはしたくない、と最初から共有していました。たとえば、ポスターのメインビジュアルになっている橋のシーン——あれ、実は広島で一番有名な橋なんです。しかもフレームのすぐ外には原爆ドームがあるんですよ。でも、それはあえて映していません。画面には“2人だけの世界”を映すようにしているんです。

――原爆ドームを映すと、観る人の視点が一気に「広島」へ引っ張られてしまう。作品の中でノイズになってしまう、ということですね。

前田監督
そうなんです。私たちは、“広島を前面に出した作品”を作りたいわけじゃない。むしろ、どこに住んでいる人が観ても「これ、自分の知ってる風景かもしれない」と思えるような、感情移入しやすい映像を目指しました。

――”感情移入しやすい映像”とは具体的にどんなシーンでしょうか?

前田監督
たとえば長野に住んでいる人が観たとき、「この感じ、あそこの飲み屋街に似てるな」とか、「映画館のあるあの通りを思い出すな」って、自然と自分の記憶に重ねられるようなシーンです。あくまで、観る人自身の“記憶の中にある場所”とすり替えてもらえるような、そんな距離感で撮っているんです。

――特定の“土地の物語”ではなく、誰にとっても“共感できる物語”になるような作品づくりですね。

前田監督
ただ、「現地っぽさ」を表現することも重要だと思います。居酒屋やカフェなどのシーンでは、店内BGMなどには広島のインディーズミュージシャンの楽曲を使用しています。その土地の空気感を、映像だけでなく“音”でも表現したかったんです。ご当地の音楽が自然に流れることで、押しつけがましくなく、その場の雰囲気を醸し出せたのではないかと思っています。


エンドロールに込めた想いと広島の音

前田監督
エンドロールの楽曲には、ローリーさんが演じる“ジョージ”が歌う『いつも雨ふり』(吉田拓郎)を使いました。ジョージは、孝祐や豊にとって“格上の存在”であり、地方都市・広島で音楽活動を続けてきたレジェンド的な存在として描いています。

この曲を最後に流すことで、2人の心情と重なる余韻を感じてもらえたらと思いました。

自主制作映画の苦労と喜び

――制作から配給までご自身で行っていることにまず驚きました。実際にはどんな苦労があるのでしょうか?

前田監督
たくさんあります!でも、一番は「こんな映画があるんだよ」って、知ってもらうまでが本当に大変で。知ってもらって、「ちょっと見に行ってみようかな」と思ってもらうまでにも、いくつもハードルがあるんですよね。

――なるほど。自主制作ならではの悩みですね。

前田監督
最初は、有名な方々に出演していただいているから、「自然と広まるかな」と思ってたんです。でも、そんなに甘くなかった。ちゃんと伝えなければ、映画があることすら誰にも届かない。

だから、自分の足で動くしかないと思って。地道にひとつひとつ、映画の存在を知ってもらう活動をしてます。長野上映の前は、新潟で上映したのですが、私も現地で宣伝していて。そのおかげで、土日だけで100人以上の方に来ていただけました。
本当に嬉しかったです。見てもらえれば、「良かった」「好きな映画だった」って言ってくださる方が増えてきて。やっぱり、“伝える努力”をあきらめないことが大切なんだなって感じています。

――5月23日から長野県で公開されますが、今のお気持ちはいかがでしょうか?

前田監督
「この街でどうやって映画を知ってもらうのか?」って本当に悩んでいます。前作『犬ころたちの唄』の上映もなくて、私は今回の上映で初めて長野の地に降り立ったくらい、知り合いも友人もまったくいない場所なので。

多くの方に見てもらえるように、スタイルを変えず地道に頑張っていきます!


映画『KYロック』は、広島という一都市を舞台にしながらも、どこか懐かしく、誰にとっても「自分の物語」として心に染み込むような作品。ぜひ肩の力を抜いて劇場で観て、そっと背中を押されてみてください。

「KYロック!」
●上映日程
2025年5月23日(金)~5月29日(木)
●会場
長野相生座・長野ロキシー1・2
(長野県長野市権堂町2255)
●チケット
【料金】
一般 1,900円
大学・専門学生 1,200円
3歳~高校生以下 1,000円
【購入方法】
劇場窓口またはオンライン:http://www.naganoaioiza.com/
※全席自由席
●駐車場
なし
●HP
「KYロック!」公式サイト https://kyrock-movie.com/
Donuts Films https://donutsfilms.themedia.jp/
●前田多美さんのSNS
instagram:https://www.instagram.com/tammyscafe/
X   :https://x.com/tammyscafe

「KYロック!」舞台挨拶
●日時
2025年5月24日(土)、5月25日(日) 14:30~
●チケット
【料金】
通常料金と同様
【購入方法】
劇場窓口 発売中 11:00~19:00
オンライン 5月17日(土) 11:00~14:00
オンラインでの購入はこちら
●ゲスト
前田多美さん
※ゲストは予告なく変更になる可能性があります。


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