12月オープン！「依和-EIWA-」カナダ・アメリカ・ヨーロッパなど世界各地で江戸前寿司を提供してきた職人が信州へ。伝統技法を間近で楽しめる臨場感も楽しんで＠長野県長野市

長野県長野市西和田の閑静な住宅街に、「依和-EIWA-」が2025年12月6日にオープン。手がけるのは、カナダを拠点に飲食業のマネジメントを経験してきた、店の代表・永澤由依さんと、日本のみならず北米やヨーロッパで鮨を提供し続けてきた料理長・永澤圭祐さん。

海外で長年にわたり研鑽を積んできた夫婦が、日本の豊かな食材と食文化の魅力をあらためて見つめ直し、その価値を伝えたいという想いから、信州の地におまかせ鮨レストランを開業しました。

同店では、伝統的な江戸前寿司の技法を軸に、信州の食材や季節の移ろいを大切にしたおまかせコースを提供。海鮮はその日の朝に市場で仕入れるものや、産地直送のものなど、状態を見極めながら最良のものを厳選。
ランチは約13品、ディナーは約18品構成。
旬の魚を使った握りを中心に、季節の食材を生かした一品料理、そして〆には手打ちそばを味わえます。

〈Index〉
▶海外で活躍した夫婦が長野で開業
▶江戸前寿司の技法で握るおまかせ寿司コース
　▷ディナー
　▷ランチ
▶日本酒初心者が気軽に楽しめる長野の地酒
▶間近で職人技を楽しめるカウンター席
▶店舗データとMAP

◆海外で活躍した夫婦が長野で開業

店主・永澤由依さんと料理長・永澤圭祐さんの夫婦。
カナダ・バンクーバーにて、江戸前鮨を提供する日本食レストランの名店に勤め、由依さんはマネージャーとして店舗運営を、圭祐さんはヘッドシェフとして料理を担当していました。

店主・永澤由依さんは、長野県小県郡青木村の出身。
高校卒業後、英語習得を目的にカナダ・バンクーバーのカレッジや大学へ留学し、現地にて日本食レストランの立ち上げに携わりました。カナダ国内の名店にも選ばれた同店では、マネージメント業務を担うとともに、日本酒の仕入れも担当。飲食店運営の中核として、店舗を支えてきました。

日本への帰国を決意したことをきっかけに、次のステージとして選んだのが長野県での開業。
「これまで培ってきた経験を活かし、長野という土地から、和食や日本酒、日本文化の魅力を世界に向けて発信したい」と語ります。

料理長の圭祐さんは奈良県出身。
大学在学中にサッカー留学でドイツへ渡り、海外での生活を通して日本食の魅力をあらためて実感。その美味しさと食文化を広めたいという想いから、大学卒業後すぐに寿司職人を養成する専門学校へ進学し、江戸前鮨の伝統的な技法を学びました。

大阪の名店で修業を重ねた後、習得した技術を携えてアメリカ・フロリダ州や、中央ヨーロッパのスロバキアなど海外で経験を積みます。特にスロバキアでは、国内初の本格的な寿司店でヘッドシェフを務めました。
「スロバキアは海に面していない内陸国です。魚の保存技術として発展した江戸前鮨の技法は、きっと受け入れてもらえると感じました」と圭祐さん。

その後、由依さんが立ち上げに関わったカナダの日本食レストランにてヘッドシェフに就任。開業から1年でカナダ屈指の名店へと成長し、多くの海外のゲストに本場の江戸前鮨を提供してきました。

◆伝統技法で握るおまかせ寿司コース

同店では、長野県産米と赤酢を合わせたシャリと、「漬け」や「昆布締め」などひと仕事を施したネタが魅力の江戸前寿司を中心に、完全予約制の「おまかせ鮨コース」を提供。
ランチは全13品（4,400円）、ディナーは全18品（8,800円）。どちらも握りに加え、季節の一品料理などが味わえます。

握りをメインに鮮魚や信州食材を使った料理を楽しめるディナー

取材時のディナーのコースを一部ご紹介。
※仕入れ状況によって内容が変わります。

国内産本鮪の「中トロ」。赤酢の持つ独特のコクとキリッとした酸味が、ネタの脂と溶け合います。

特製の醤油ダレに半日漬け込んだ「漬けマグロ」は、醤油のコクとねっとりとしたまぐろの食感が重なる一貫。

「アジ」はさっと酢通ししており、身のふっくら感と上品な脂が魅力。

「穴子」は重量感がある大きさで、しっかりと煮込まれてほろほろ崩れるほどの柔らかさ。

取材時の「御造り」はメバルとミズダコ。

前菜は「つぶ貝の出汁ジュレ掛け」。

眼の前の七輪で焼く様子も楽しめる焼き物は「銀鱈の西京漬け」。

紅ズワイガニや舞茸などが入った「茶碗蒸し」。刻まれた山葵の茎がアクセント。

コースの最後には、信州産のそば粉を使った手打ち蕎麦も登場。江戸前寿司のコースでは珍しい組み合わせですが、「信州に来てコースを楽しんでいただくなら蕎麦も味わってほしい」という想いから実現。

その他、コースでは季節に応じた一品物も提供。
※画像は開店祝いで提供された「ミニ海鮮丼」

全13品のランチも江戸前寿司が中心のコース

ランチタイムは12時一斉スタートの完全予約制で、日・月曜限定。握り寿司をはじめ、長野県産の食材や海鮮を用いた前菜など、約13品をお楽しみいただけます。

ランチコースの「前菜3種盛り合わせ」は、季節の食材の天ぷら・焼き物・小鉢。

◆日本酒初心者が気軽に楽しめる長野の地酒

「依和-EIWA-」のもうひとつの魅力が、長野県の地酒。酒蔵を一軒一軒訪問し、ひと銘柄ずつ由依さんが厳選。約15種類ほど取り揃えます。

日本酒に親しみのない方にも楽しんでいただけるよう、由依さんがセレクトした三種の日本酒を少量ずつ味わえる「テイスティングセット」を用意。また料理に合わせたペアリングの提案も行っています。

「私自身、はじめは日本酒に馴染みがなかったからこそ、その美味しさをまだ知らない方にも伝えたいと思っています。日本酒が苦手だと思っている方にも一度味わっていただき、『あ、美味しい』と感じてもらえたら、それが何より嬉しいですね」と、由依さん。

日本酒のほか「穂高ブルワリー（安曇野市）」のクラフトビールや、信州産のワインなども用意されています。

◆間近で職人技を楽しめるカウンター席

落ち着いた雰囲気の空間には、カウンターが8席。

職人の”仕事”を間近で楽しめる臨場感と、炭火で焼く音や香りなど、五感で楽しむ体験が魅力。

駐車場は7台完備。「お車でお越しの際は、周辺の道路がやや狭くなっているため、お花屋「ヌボーエール」さんの横の道から入るとスムーズです」と、由依さん。

なお、2026年1月からは営業時間が変更となり、ディナーは19時からのスタート。

【長野県の情報サイト Web Komachi】
photo(一部除く)取材＆text：Web Komachi編集部 田中佑人