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10/12(土)~12/1(日)松本市美術館にて開催中の特別展『金工の巨匠 香取秀真展』に潜入!@長野県松本市
公開日:2024/10/18
[PR]松本市美術館
松本駅から車で約10分、イオンモール松本近くに位置する「松本市美術館」。
世界的に活躍する松本が誇る前衛芸術家、草間彌生の屋外作品や壁面作品が目を惹く同施設は、草間彌生をはじめ松本にゆかりのあるアーティストの常設展示に加え、意欲的な企画展を行っています。
そんな松本市美術館にて、10/12(土)~12/1(日)の間に開催されているのが
松本ゆかりの金工作家、「香取秀真(かとりほつま)」の生誕150周年・没後70年を記念した特別展「金工の巨匠 香取秀真展」。
“鋳金”という金属加工技法を学び多くの作品を制作、多数の賞を受けると同時に後進の育成にも力を注ぎ、日本の工芸界全体の発展に尽力した香取秀真の歩みと、松本とのつながりを感じられる作品がならびます。
…と書くと少し難しく感じてしまうかもしれませんが、
日本やアジアの伝統的な美しい文様や、ふふと笑ってしまうような遊び心のあるモチーフ、洗練された線の表現、そして何と言っても、時に冷たく、時にあたたかみを帯びる、金属素材の豊かな表情!
それらを観ているだけで楽しかったので、その展示内容を潜入レポート形式でちょこっとお届けします。
気になった方は、実物を観にぜひ足を運んでみてくださいね。
★展示を観る前に!★ “金工”とは? (展示内解説より)
金属を様々な技法で加工し工芸品を制作すること。
技法は大きく分けると鋳金(ちゅうきん)・鍛金(たんきん)・彫金(ちょうきん)の3つがあります。日本の金工は紀元前3世紀以来の歴史を持っており、使われている金属は、金・銀・銅・鉄・錫(すず)・鉛などで、それらの合金を含めるとさらに種類は多くなります。
・鋳金・・・金属や合金を加熱して溶かし、土や砂、石などでつくった型に流し込み形作る技法。「鋳造(ちゅうぞう)」や「鋳物(いもの)」ともいう。
・鍛金・・・金属や合金を打ち延ばしたり、縮めたりして形作る技法。「打ちもの」ともいう。
・彫金・・・さまざまな鏨(たがね/金属を彫るための工具)を使用して、金属に文字や文様を彫刻する技法。
香取秀真は生涯「鋳金」で制作を行いました。
展示室に入って最初の部屋には、東京藝術大学の前身「東京美術学校」にて学生をしていた時期に制作したものや初期の作品が並びます。
1874年に現在の千葉県印西市で生まれた秀真は神社の宮司に養子として迎えられました。また通い始めた学校で『万葉集』と出合うなど、日本の伝統文化を身近に感じながら成長しました。
東京美術学校にて鋳金を学び、金工史についても熱心に研究したという秀真の興味関心が、すでに日本の古代にあったことが展示よりうかがい知ることができます。
以降、秀真はアジアや日本の古典的な文様や形、古来作られていた金工品などの研究に熱心に取り組み、伝統的な趣がありながら斬新さもある、格調高い作品を生み出していくこととなります。
次のブロックでは、その秀真の研究の成果とも言える、古代の文様やモチーフを取り入れた作品がならびます。
▲左:《烏銅鳳凰香炉》千葉美術館蔵・1911年/右:《瑞花瑞鳥文鋳銅八稜櫃》京都国立近代美術館蔵・1926-40年頃
伝説の霊鳥であり、おめでたいモチーフとして東洋で広く愛されてきた「鳳凰」を「烏銅」という青みがかった銅と金の合金で形作った《烏銅鳳凰香炉》や、八つの角を持った形や二羽の鳥などの文様が中国や日本古代の鏡を思わせる《瑞花瑞鳥文鋳銅八稜櫃》など。
さらに進んでいくと、秀真が研究した古代の鏡や香炉のモチーフを用いた作品たちが。
▲《鳥花文八稜鏡》千葉県立美術館蔵[北詰コレクション]1929年
鏡をよく見てみると、先ほどの《瑞花瑞鳥文鋳銅八稜櫃》と形や文様が似ていることがわかります。
さらに、秀真の作品の特徴として、美術品としてではなく「実用することを考えて作られている」ことも挙げられます。
実際に生活の中で使われていたという香炉、花瓶、鉄瓶がならぶこちらのブロックでは、焦げ跡や錆びのある作品を観ることができます。その使用感もまた味わい深い。
▲左:《獅子牡丹文香鑪》千葉県立美術館蔵[北詰コレクション]1929年、右:《鹿耳灰落》千葉県立美術館蔵[北詰コレクション]
また、注目してほしいのが遊び心のあるモチーフ!
つまみが獅子の形になった香炉や、取っ手が鹿の顔になった灰落(今で言う灰皿のようなもの)など。表情も絶妙でかわいいんです。
生活に彩りを与えてくれる道具として制作されたであろうこれらの作品は、あたたかな雰囲気で一緒に生活してみたくなる魅力があります。
次のブロックは他と少し毛色が違い、秀真の松本とのつながりがわかる作品を展示しています。
妻が塩尻市の出身であったために何度も長野県を訪れていたほか、戦時中は妻のつてで現在の松本市里山辺に疎開するなど、松本との縁も深い香取秀真。
正岡子規門下の歌人としての一面もあった秀真が、松本の芸術仲間と交わした歌や絵、贈り物などが展示されており、ささやかな交流のあとを観ることができます。
▲左:左より《文鎮 枇杷》《文鎮 唐墨》松本市立博物館蔵[胡桃沢コレクション]、右:《松茸の画並びに歌》松本市美術館[百竹亭コレクション]
▲《観音菩薩立像》個人蔵
戦没者がいる家庭に配られたという観音菩薩の立像からは、当時の厳しい状況や松本の人々との交流の様子が伺えます。
最後のブロックは、展覧会に出品するなどした代表作がならびます。
さまざまな制作や研究を経て秀真が至った境地、削ぎ落とされた装飾と東洋の伝統を反映した文様、さらに西洋文化が流入する当時の時代感覚を取り入れた、独特の感性を堪能して。
▲左より《美々豆久香炉》千葉県立美術館蔵、《鳳凰風炉》千葉県立美術館蔵[北詰コレクション]、《鳩香炉》千葉県立美術館蔵
西洋化が進んでいく日本の時代状況の中で、日本古来の伝統の美しさを発掘し、作品にして発表した香取秀真。
今を生きる私達にも、日本文化の素晴らしさを伝えてくれているようです。
作品をたっぷりと堪能したあとは、ミュージアムショップにて、図録をはじめ関連書籍、松本の和菓子店とコラボした限定和菓子など、特別展に合わせた商品をチェックしてみて。
360度楽しめるのも立体作品の楽しいところ。まだまだ色んな作品たちが紹介しきれないほどそろっているので、
ぜひ実物を観に、松本市美術館へ足を運んでみてくださいね。
今後開催される関連イベント
■本展観覧者限定 お茶席
香取秀真の釜を用いたお茶席で、お抹茶とお菓子を楽しめます。
日時/10月19日(土)10時~15時(お菓子がなくなり次第終了)
会場/松本市美術館中庭
料金無料 ※本展観覧券が必要(使用済み半券も可)
協力/茶道裹千家淡交会長野県支部中信分会
■ワークショップ「鋳金に挑戦!金属を溶かしてオリジナルチャームをつくろう」【※定員に達しました※】
コウイカの骨を削って鋳型をつくり、溶かした金属を流してオリジナルのキーホルダーなどを制作できます。
講師/本山ひろ子氏(鋳金家)
日時/11月23日(土・祝)
①午前の部:10時~12時
②午後の部:14時~16時 ※どちらかを選択
会場/松本市美術館 講座室・市民アトリエ
料金/3,000円
対象/小学生以上(小学3年生以下は保護者同伴)
定員/各回先着10名【※定員に達しました※】
■担当学芸員によるギャラリートーク
日時/10月29日(火)、11月2日(土)、20日(水)各日14時~
会場/松本市美術館 2階 企画展示室
料金無料(当日有効の本展観覧券が必要)
定員/先着15名程度(申込不要)
■手話通訳付きギャラリートーク
日時/11月7日(木)14時~
会場/松本市美術館 2階企画展示室
料金無料(当日有効の本展観覧券が必要 ※がい者手帳携帯者とその介助者1名は観覧無料)
対象・定員/手話を必要とする方6名とその介助者
申込/10月6日(日)から松本市美術館HPで受付
●会期
2024年10/12(土)~12/1(日)
●会場
松本市美術館(松本市中央4-2-22)
●電話番号
0263-39-7400
●営業時間
9時~17時(入場は16時30分まで)
●休館日
月曜日(休日の場合は翌平日)
●観覧料
大人:窓口1,200円、オンライン1,100円
大学・高校生、70歳以上の松本市民:窓口800円、オンライン700円
※当展示の観覧券でコレクション展示も観覧可能
※中学生以下無料、障がい者手帳携帯者とその介助者1名無料
※20名上の団体は各200円引き(当日窓口販売のみ)
※大学生・高校生と70歳以上の松本市民は、観覧当日、学生証、免許証等の証明書が必要
●駐車場
67台
●HP
https://matsumoto-artmuse.jp/
●オンラインチケット販売
https://www.e-tix.jp/matsumoto-artmuse/
〈text:編集部加藤、photo:長野こまち〉
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