デンマークの生活様式に対するオマージュがパン作りの出発点「haluta bageri Oiwake（ハルタベーガリ追分）」素朴で味わい深いパンを堪能＠長野県軽井沢町

2000年、北欧家具の輸入販売をメインに事業をスタートした「haluta」。デンマークを訪問する機会の多かったオーナーは、自然と共存する暮らしや豊かな食文化に魅了されたそう。デンマークスタイルのパンを日本に伝えたいと2011年にベーカリーをオープンし、5年程前、上田市から軽井沢町中軽井沢に移転。幅広いニーズに応えられるようクリーム系のパンなども提供し、「町のベーカリー」として愛されてきました。
そして2023年7月、軽井沢町追分「still」に移転し、「haluta bageri Oiwake（ハルタベーガリオイワケ）」として食事パン中心の店にリニューアルしました。なるべく農薬や化学肥料が使われていない素材を選び、オーガニック素材も積極的に取り入れながら、約20 ～30種類のパンを焼き上げています。自分の食事スタイルに寄り添うパンを探してみて。

デンマークで修業し、伝統の黒パン「ルブロ」を忠実に再現

デンマークでは、カンパーニュやバゲットのようなシンプルなパンが主流だとか。この店では、「シンプルでおいしい」食事パンを追求しています。

オーナーは特にデンマークで国民食として愛されている黒パン「ルブロ」には、ひとかたならぬ思い入れがあったそう。本場の味を再現するためにデンマークで修業し、伝統的な製法を習得しました。おいしさの秘訣は、小麦と水だけで起こす天然酵母「サワー種」でヨーグルトのような穏やかな酸味が特長です。

この酵母で丁寧に自然発酵させるサワードゥブレッドは、「最も健康的なパン」と言われるほど胃腸にやさしい！ヒマワリの種やアマニ、白ゴマ、モルトシロップなどを加えているため、ビタミンやミネラルなど栄養素も豊富です。日本の発酵食のような深みのある味わいと、ひきわりライ麦のプチプチとしたクセになる食感を楽しめます。薄くスライスして具材をのせるオープンサンドが本場流の楽しみ方。ぜひ試してみて。

体にも環境にも負荷のないシンプルなパン作り

「朝仕込んだ生地をその日のうちに焼き上げています。朝食や昼食にふさわしい、すっきりとした軽やかなパンを目指しています」と製造担当者。

ベースは北海道産小麦ですが、そこに上田市で無農薬･有機栽培された小麦の全粒粉を2割ほど配合しています。上田市産の小麦は「ユメアサヒ」と「シラネコムギ」の2種類。小麦の香りを最大限に引き出せるよう、仕込み前に少量ずつ石臼で挽くんだとか。細部にもこだわりが詰まっています。

製法はストレート法と呼ばれるもので大量生産には向きませんが、短時間の発酵によって小麦そのものの風味を生かしています。シンプルなだけに、配合や捏ね、発酵など、すべての工程に確かな技術が求められる製法です。

素朴で味わい深いパンは日常にさりげなく溶け込む存在

「シンプルでおいしい」を届けたいと、風味豊かな日常食としてのパンを追求。多くのパンは、上田産全粒粉の湯種を使って焼き上げています。口当たりの良い生地にマスカットレーズンが入った「ミュスカ」や食感豊かな「シードパン」などデンマークの生活様式をオマージュしたパンが楽しめます。

人気の「ルブロ」と肩を並べるメニューは、「フルクト」という名のハードパン。オーガニックのカランツやアプリコット、いよかんピールなど、ぎっしり入ったドライフルーツが、ひと口ごとに重層的なハーモニーを奏でます。上田産全粒粉の湯種を使った生地はもっちりした歯ごたえで、小麦の力強い風味を感じられます。

ソフト系なら食パン「フランスクブロ」がおすすめ。軽い食感の山型と、水分量が多くもっちりとした角型があり、牛乳やバターなどの動物性食材を使わずに焼き上げています。

店内では隣接の厨房から次々と焼きたてのパンが運ばれてきます。ピッツァのテイクアウトも行っていて、オーダーごとに薪窯で焼き上げる生地は軽い食感ながらも食べごたえがあるものばかり！

〈MENU〉
フランスクブロ　　420円
ルブロ　　ホール 2,200円
フルクト　　700円、ハーフ380円
このみ　　480円
アサマ　　540円
クロワッサン　　400円
シナモン　　420円
オリーブ　　380円

「自分の子どもにも安心して食べさせられますし、安全な食文化が身近にあることのすばらしさを実感しています。店舗は環境に配慮した設計なので、心地よい空気感も味わっていただきたいです。キナリノモールでも焼きたてパンをご注文いただけます！」とスタッフの皆さん。

20年間使われていなかったドライブインを複合施設としてよみがえらせました。デンマークの建築技術を取り入れ、自然と調和する空間に。

デンマークのポジティブなライフスタイルを体現したベーカリーで、パンとの幸せな付き合い方を見つけてみて。

（こちらの記事は、長野Komachi2023年10月号“おいしいパン特集”に掲載されたものです。最新情報をご確認の上、ご利用ください）