9/9(火)~10/31(金)佐久地域13蔵の銘酒が集結『軽井沢サケテラス』信州の美酒と秋の味覚を堪能!軽井沢星野エリアで6年ぶりに開催@長野県 軽井沢町
信州ラーメン界のカリスマであり美食家としても名を馳せる塚田兼司が愛して止まない料理を毎号紹介。
オープンから1年を迎えた軽井沢の新進気鋭、自然食材と焚き火料理を提供する名店に注目します!

「天然キノコと卵黄」
秋のコース(24,000円)の一品として提供。※メニューは季節により変動
秋風に揺られてモクモクと上がる薪の香り!窓越しに見える暖炉の暖かな炎に導かれて軽井沢の別荘地の扉を開けてみた。ドアを開けた瞬間に鼻腔を駆け抜ける薫香に食いしん坊の心が踊ります。そこには薪から上がる炎に鋭い眼光を送る“山男”の姿がありました。テーブルの上には自身が山を歩き採取してきたイロトリドリのキノコ達が。自然の旨味とエネルギーに満ち溢れた素材達が、薪火を使いさらに天然素材がもつ無限の旨味への階段を昇りはじめる。まるで山男は炎と素材との会話を楽しむように微笑んでいる。その澄んだ瞳には信州の大自然への敬意と食材への慈愛の気持ちが宿っていた。
静かにテーブルに置かれた一皿は「天然キノコと卵黄」。ひと口目から舌を這い回る旨味…咀嚼するたびに新たなる香りやほのかな苦味と儚い甘味が手を変え品を変えて口内に数種類のキノコの息吹を感じさせる。至福の時はその瞬間だけではなく、かなり長い余韻とコクを口の中に残してくれるのです。この一皿の立役者についてシェフが語った。
「ヤマドリタケモドキを乾燥させた出汁に一晩卵黄を漬けてから乗せてます!」
幸せな余韻に浸る自分にハッとする衝撃が走った。それぞれのキノコが持つ個性。香り、食感、旨味、苦味、甘味……。天然素材を薪の炎と煙を使いより自然の旨味を引き上げたヤンチャなキノコ達をこの卵黄がひとつにまとめ上げて素晴らしい演出を奏でてくれたのだと…。凝縮されたキノコの香りをまとった卵黄がキノコ達に絡まることで、さまざまな個性の素材たちに調和をもたらしている。厨房で山男から料理人へと変異したシェフの一皿にスタンディングオベーションな気持ちになるのでした。
あなたがこの扉を開ける時には、また新たなるキノコや食材達が暖かな薪の炎と香りと共にあなたを迎えてくれることでしょう。

薪を焚べたり動かしながら火力の調整を行う。薪に使うナラやカラマツの香りが料理の良いアクセントに。


左)秋のコース料理に登場する「信州産鹿ロースの薪焼きカツレツ」。薪火でじっくり焼き上げるので外側はさっくり、中はレアに仕上がります
右)西本シェフ自ら採取に赴くというキノコの数々。採れるキノコの大きさや量、種類も日によってさまざま

パチパチと心地よい薪の音を聞きながら、カウンター席からライブ感のある食事を楽しめます。

四季折々の食材を熟知してる西本シェフの料理には彼自身がオススメするペアリングが絶対的にオススメです!
山の食材を知り尽くした西本さんだからこそできるペアリングは新しい発見の連続。薪料理の真髄をお酒と共に味わって下さい。
この「手」で食材を採取し調理する
「手」を意味する店名に込めた想い
MANO・シェフ/西本竜一
スペイン修業で薪火料理の腕を磨き、国内レストランで研鑽後、2024年7月に「MANO」をオープン。スペイン語で「手」を意味する店名「MANO」には、自ら食材を採取する、作家の生み出す皿などさまざまな活力みなぎる「手」仕事から料理が生まれるという想いが込められています。四季折々の素材がスペイン仕込みの表現方法で珠玉のひと皿に生まれ変わる。
MANO(マノ)
店主が採取する食材や、ジビエ肉を使い、その時その地で出会える食材を薪火調理で提供する「MANO」。

塚田兼司の日々是口福

長野Komachiにて連載中。
県内外に数多くの人気ラーメン店を展開する「ボンドオブハーツ」グループの代表。全国各地のおいしいものを食べ歩き、有名シェフや美食評論家との交流も深い。信州のおいしいを発掘・発見するべく、止まらない食欲をエネルギーに、食べ歩きの日々は続く…。
※この記事は「長野Komachi2025年秋号」に掲載されたものです
掲載の情報は公開日現在のものです。最新の情報は施設・店舗・主催者にご確認ください。